知ってると役立つ心理学〜色彩心理学〜

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こんにちは。デザイナーの阪本です。

少し前の話ですが、3月に初の色彩商標が認定され話題になりましたね。今回認められたのは2件ですが、出願件数は500件近くもあり、今後の動きが気になります。デザインにおいて色の扱いはとても重要ですが、デザインに限らずファッションやインテリアなど、日々の生活でもとても大事な役割を果たしています。


色彩心理学とは


 色彩心理学は、2003年に米国で誕生した心理学です。各色の根源的な性質や特質、 それらと”イメージ”、”自我”、”魂”、”意識”、”無意識”といった人間の心の諸要素との連関などを主として研究する学問です。意外と新しい学問ですが、色彩を研究していたゲーテを初めとし、東洋では空海、西洋では、ユング、 フロイト、アドラーなど、偉大な先人たちの智恵が息づいています。

【出典】日本色彩心理学研究所(http://www.nihon-shikisai-shinrigaku.com/about_colorpsychology.html


色が与える印象


色が私たちに与える印象の一部を簡単に紹介します。

ここでは11の基本色について紹介します。

※Berlin & Kay (1969) が世界中の 100 以上の言語における色名語彙を調べた結果、成熟した言語に共通に含まれると結論した 11 の色名のこと。

 

赤は活力や食欲を増進させるなど、アクティブ印象を与える色です。気持ちを高める効果があるので、勝負所で赤いものを身につける人も多いのではないでしょうか。アメリカの大統領選挙では赤いネクタイの着用率が一番高いそうです。

ポジティブイメージ…華やか・積極的・情熱的・生命力・愛

ネガティブイメージ…圧迫・怒り・嫉妬・危険・攻撃的

 

緑は目に優しい色で、集中力を保つのに適しており、リラックス効果もあります。

ポジティブイメージ…平和・安らぎ・調和・公平・自然

ネガティブイメージ…疲れ・弱々しい・未熟

 

青はインターネットで最も人気な色(http://wired.jp/2016/09/16/popular-color-internet/)と言われたり、海外のランキングサイト「THE TOP TENS」で1位https://www.thetoptens.com/top-ten-favorite-colors/)と、人気の高い色です。企業ロゴにも多く使われています。

ポジティブイメージ…誠実・冷静・爽やか・涼しげ・知的

ネガティブイメージ…冷淡・消極的・孤独・憂鬱

黄色は有彩色の中で最も明るい色です。昼夜問わず認識がしやすい注意喚起の色としてよく使われます。

ポジティブイメージ…元気・希望・賑やか・若さ

ネガティブイメージ…幼稚・軽薄・未熟

高貴、優美なイメージのある紫は古くから地位の高さを象徴する色とされています。

ポジティブイメージ…高貴・神秘的・上品・高級

ネガティブイメージ…不満・不安定・二面性・嫉妬・下品

ピンク

ピンクは不安を和らげ、優しい気持ちにしてくれます。

ポジティブイメージ…安らぎ・繊細・可愛らしさ・幸福・愛情

ネガティブイメージ…不安定・幼稚・弱さ

自然を感じさせる茶色は温もりや居心地の良さがあります。常に身近に存在しており、暮らしの中に溶け込んでいる色です。

ポジティブイメージ…大地・穏やか・温和・伝統・保守的

ネガティブイメージ…地味・頑固・陰気

オレンジ

楽天的で陽気な印象を与える橙は赤と同じく食欲増進や身体を活動的にする効果があります。また、比較的ネガティブイメージの少ない色でもあります。

ポジティブイメージ…家庭的・安心・健康・親和・陽気

ネガティブイメージ…安っぽい・わがまま

白は光を反射する最も明るい色で、暗い色を引き立てます。信頼感や清潔感など、クリーンなイメージが大きいですね。

ポジティブイメージ…清潔・幸福・真実・純粋・爽やか・勝利

ネガティブイメージ…孤独・自閉・空虚・薄情

白と黒の間の灰色はグレーゾーンなどどっちつかずの表現で使われますが、どんな色と組み合わせても違和感のない色です。

ポジティブイメージ…控えめ・落ち着き・穏やか

ネガティブイメージ…不安・曖昧・無気力・空虚・孤独

多く使われる色ですが、ネガティブイメージが目立つ色でもあるので使い方に注意が必要です。

ポジティブイメージ…格式高い・上品・力強い・威厳・重厚

ネガティブイメージ…不吉・恐怖・絶望・悪・汚い・負け

これらのイメージが見た人や状況に応じて変化していきます。また、上記は単体で見た時の印象ですが、2つ以上の色を組み合わせることでこれらの印象は一気に変わってきます。こちらについてはまた別の機会にご紹介します。


豆知識:青と緑の混用について


日本語には「青木(青々とした樹木)」や「青菜(緑色の葉菜)」などの表現があります。青りんごや信号機もそうですね。実際には青色ではないと知っていても、何故、緑なのに青と表現するのだろう…と不思議に思いませんか?

この青と緑の混用は長いこと変化していません。東北大学が発表した研究結果http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2017/03/press20170301-03.html)によると、平安以前の日本の和歌において、「あお」は明らかに青いものにも緑の物にも用いられ、「みどり」も同様であったことがわかりました。また、この混用は日本語だけでなく13 世紀以前の中世の英語にも存在していたそうです。

この名残が青と緑は異なる色カテゴリーとされている現代でも続いているみたいです。さらに同研究の結果により「水色」が日本語の基本色カテゴリー12番目の色名の候補になりうるのだとか。無意識で使い分けているとはいえ、よく考えると結構すごいことですね。

※日本語の基本色カテゴリー…赤、緑、青、黄、紫、ピンク、茶、オレンジ、白、灰、黒


まとめ


色は物事を判断する上で大切な要素の一つです。迷っている中からどれかを選ばなければいけない時、選択する基準にしたり、どんな人かわからない初対面の相手のイメージを着ている服や持ち物の色で判断したりもします。普段は意識しないかもしれませんが、これを機に色について意識して生活してみると、知らなかった自分の傾向や好みがわかるかもしれませんし、自分が率先して色の効果を取り入れてみるのもいいかもしれません。それでは。

2/16 「知ってると役立つ心理学〜初頭効果と親近効果〜」はこちらから

https://www.daishinsha-cd.jp/blog/psychology

Topics: コラム


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