こんにちは、ビジュアルデザインの後藤です。VRに期待されている活用方法のひとつとして、遠隔会議があります。VR会議によって、遠く離れた遠隔地でも、空間の共有が可能になるので、移動時間を節約することができます。働き方改革が叫ばれている昨今の情勢にもぴったりでしょう。遠隔地同士での会議というと、今はテレビ会議が一般的ですが、画面越しに話すもどかしさや、資料共有のしにくさなどを感じる人も多いのではないでしょうか。VRであれば、同じ資料を見ながら指で指し示したり、ホワイトボードに書き込みしあったりと、これまで同じ場所にいなければできなかったようなことまで可能になります。
そこで、今回はVR会議に使えそうなアプリをいくつかピックアップしましたので、そちらをご紹介したいと思います。会議を行うとなると、PowerPointやExcelなどの資料共有ができることは欠かせないと思いますので、PC画面の共有ができることを前提にアプリを探しました。ですので、いずれもPCと接続が必要な、Oculus Rift と HTC Vive 用のアプリになります。会議用であれば、できればホワイトボードや3Dモデルのインポート機能もあったほうがよいかと思いますが、対応しているアプリは限られます。そちらに対応しているのは、下4つの有料のアプリになります。
『Facebook Spaces』
公式サイト:https://www.facebook.com/spaces
料金:無料(4人まで空間共有可能)
ホワイトボード:無し(3Dペンは有り)
3Dモデルインポート:無し(Mediumで作成したモデルのみインポート可)
特徴:360度画像があれば、参加者でその空間を共有することができます。
『Bigscreen』
公式サイト:https://bigscreenvr.com
料金:無料(12人まで空間共有可能)
ホワイトボード:無し(3Dペンは有り)
3Dモデルインポート:無し
特徴:PC画面を3枚まで共有することができ、好きなサイズに変更できます。友人と一緒に、映画やゲームを楽しむことに主眼が置かれたアプリです。
『rumii』
公式サイト:https://www.rumii.net
料金:3人までの空間共有は無料、それ以上は1人追加ごとに月額9.99ドル
ホワイトボード:有り
3Dモデルインポート:有り(FBX・OBJ形式)
特徴:Google Poly (Googleの運営している3Dモデル共有サイト)のモデルを取り込むことができます。同サイトは3Dモデルの種類が充実しているので、3Dモデルを並べて、シミュレーションやアイディア出しなどをするのにかなり有用だと思います。
『NEUTRANS』
公式サイト:http://neutrans.space
料金:1ライセンスあたり月額10,000円(BIZ版、10人まで空間共有可能)
ホワイトボード:有り
3Dモデルインポート:有り(FBX形式)
特徴:日本企業のサービスなので安心感があります。
いくつか実際に試してみましたが、画面共有しているPCを操作しようと思った際、現実のキーボードやマウスが見えず、また、自分の手も見えないので、もどかしく思う場面が度々ありました。いずれのアプリも、モーションコントローラーでPC画面を操作することもできるのですが、そちらの操作はかなり難しく、モーションコントローラーで文字や絵を描くのにも慣れが必要です。文字入力については音声認識を使うという方法も考えられますが、会議中に音声入力をするのもはばかられるので、VR会議が普及するためには、そのあたりの問題がクリアされる必要があると思いました。
しかしながら、製品化前の3Dモデルを、離れた人と一緒に見ながらデザインの検討をしたり、3Dモデルを並べながらブレインストーミングやシナリオを検討したりといったことは、現実の会議ではできないVRならではの体験です。これからはグローバル化が一層進むと見られるので、VR会議は欠かせないものになっていくでしょう。また、これは実際に体験してみないとわからないのですが、VRでの空間共有はテレビ会議よりも「すぐそば」にいる感覚が強く、簡易ながらジェスチャーもできるので、相手と自然に話すことができます。さらに、VR内では姿がアバターになっているので、相手に面と向かって話すよりも、緊張せずに率直な意見を言いやすいという声もあります。これはVR会議の思いがけない効用ですね。
詳細は不明ですが、海外ではVR内のバーチャル出社を実施している会社もあるそうで、ニュースに取り上げられていました。
GIZMODO『いいなぁ、バーチャル出社。リアルオフィスを捨てた会社が急成長中』
https://www.gizmodo.jp/2018/07/real-estate-company-operating-entirely-in-vr.html
VR会議は、現時点ではいくつか問題もありますが、それらの問題が解決していけば、VRで会議することも、当たり前のことになってくるかもしれませんね。