VRが身近に!スタンドアロン(一体型)VRヘッドセット2機種が立て続けに登場

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こんにちは、ビジュアルデザインの後藤です。

20185月、スタンドアロンVRヘッドセット2機種が立て続けに発売されました!

これまで、一定以上の品質のVRを体験するためには、高性能PCや対応スマホが必要だったため、VRに少し興味があっても手を出せないという人も多かったのですが、これらの機種が登場したことにより、そんな人でもVRが手に取りやすくなりました。スタンドアロンVRヘッドセットの利点として、まず目に付くのは、これまでのVRヘッドセットに比べてリーズナブルという点です。しかし、それ以上に、一体型であることによって、コードの取り回しや、スマホとの相性を気にする必要がなくなるため、心理的な障壁が低くなり、気軽に何度もVRを体験しやすくという点が、最大のメリットであると私は考えています。

そして、その2機種のスタンドアロンVRヘッドセットというのがこちらになります。

IMG_3402Oculus Go

IMG_3396Mirage Solo

同時期に一見よく似たヘッドセットが発売となったため、それぞれどう違うのか、自分はどちらを選べばよいのかと迷われる方も多いと思います。そこで2機種の主な違いを下にまとめました。

 

 Oculus Go

 Mirage Solo

 メーカー

 Oculus(Facebook傘下)

 Lenovo

 プラットホーム

 Oculus(Facebook傘下)

 Google Daydream

 値段

23,800円(32GBモデル、税込)      29,800円(64GBモデル、税込)

 55,296円(64GBモデル、税込)

 トラッキング

 3DoF(ポジショントラッキング無し)

 6DoF(ポジショントラッキング有り)

 オーディオ

 スピーカー内蔵

 要イヤホン

 販路

 米公式サイトからの購入のみ

 家電量販店で購入可能

 

頭への固定の仕方や、SDカードスロットの有無、USBポートの種類など、他にも細かい相違はたくさんあるのですが、購入を検討している人が、まず気にするべき大きな違いとしては、上の表で挙げた点になるでしょう。

ところで、表の中で出ていたDoFというワードですが、見慣れない言葉だと思います。DoFとは Degrees of Freedom の略で、トラッキングできる方向軸の数を表しています。3DoFと6DoFの違いについては、下のイラスト(『いらすとや』さんのフリーイラスト)がびっくりするほどわかりやすいです。

vr_motion_tracking_3dof[1]3DoF(Oculus Go)

 

vr_motion_tracking_6dof[2]6DoF(Mirage Solo)

3DoFは顔の向き(回転)のみ検出しますが、6DoFはそれに加えて顔の位置も検出することができるので、目の前のオブジェクトに近づいたり、覗き込んだりすることができるようになります。人の感覚により近いので、酔いにくいという利点もあります。6DoFの方が高い実在感を得られますが、反面、360度動画(CGではなく定点で撮影された映像)ではその恩恵にあずかることができませんし、6DoFに対応している Mirage Solo の方が、 Oculus Go よりも値段が高くなっています。

3DoFよりも6DoFの方が、VRとしては理想的なので、個人的には Mirage Solo を推したい気持ちもありますが、一方で、VRそのものの普及を第一に、思い切って割り切り、VRに少しだけ興味があるという人に買ってみてもいいかなと思わせる値段にした、Oculusの戦略は実に絶妙だとも思います。スピーカーを内蔵していたり、携帯性が高かったりするあたりも抜け目がありません。

どちらの機種もコントローラーは3DoFなので、モーションコントローラーというよりはレーザーポインターに近い格好になります。一方、PCに繋ぐハイエンドVRヘッドセットのコントローラーは6DoFが一般的です。

恐らくモバイル技術やコストの制約から、スタンドアロンVRヘッドセットはコントローラーが3DoFになっているのでしょう。残念に思っていましたが、実際に使ってみると、こちらのほうが腕が疲れず、感触のないことから生じる違和感もないので、長く遊ぶ分にはかえって快適にさえ感じたことは意外な発見でした。『WIRED』誌の創刊編集長であるケヴィン・ケリー氏が、その著書の中で、次のように書いていたことを思い出しました。

 

それ[引用者注:映画『マイノリティ・リポート』に出てくるインターフェースのこと]はとても映画的な使い方だったが、未来のインターフェースは両手をもっと近くで使うものになりそうだ。両腕を目の前に伸ばしたまま1分以上その姿勢でいたら、エアロビクスの運動になってしまう。もっと進んだ使い方として、インタラクションは手話により近いものになっていくだろう。未来のオフィスワーカーはキーボードを叩いたり、ましてやカッコよく明滅するホログラフィックなキーボードも使っておらず、新たに進化した手のジェスチャーを使いながら、デバイスに話しかけているだろう。

(中略)

もし誰かがポータブルデバイスと会話している2050年の姿を描きたければ、スクリーン上にまたたく選択肢の中から目で選んで、やっと聞こえるぐらいのけだるそうなつぶやき声で確認し、膝の上や腰のあたりで素早く手をばたばたしている姿を思い浮かべればいいだろう。もし未来において、誰かがぶつぶつ言いながら目の前で両手をダンスするように動かしていたら、それはコンピューターで仕事をしているということなのだ。

『<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則』

著者:ケヴィン・ケリー 訳者:服部桂 出版社:NHK出版 (2016/7/27)

 

未来のインターフェースは、現実の動きをなるべく再現した大仰なものではなく、合理的に省力化された一見奇妙な動きのものになるのかもしれません。

ストアに並ぶソフトウェアの数はまだそれほど多くなく、玉石混淆といった感じで、iPhone普及し始めた時のApp Storeに近い雰囲気を感じます。多くの人が購入しやすくなったことで、これからアプリがどんどん増えていくことが期待されます。スマホのようにソーシャルアプリやカジュアルゲーム、実用アプリが増えていくことでしょう。VRの普及に弾みがつきそうで、これからが楽しみですね。

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