Fontの話 “異体字”

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こんにちは。編集制作 津田です。

まずは、タカラヅカでおなじみ宝塚駅の駅名表記を見てください。

 

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かたや、JR宝塚駅

 

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こなた、阪急宝塚駅

 

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ん??「塚」の漢字にご注目。阪急の「塚」には「ヽ」が入っています。

 

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宝塚市のホームページでは「ヽ」が入っています。

 

「よくある質問」での公式な回答

 

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http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/faq/5000002/5000013/5000086/5000728.html

 

普通にパソコンで「塚」を打つと「ヽ」の入っていない「塚」が表示されますが、

宝塚市では「ヽ」の入った「塚」を正式に使用しているようです。このような文字をFontの世界では「親字」に対しての「異体字」といいます。

 

異体字


現在プリプレスのためのFontの主流であるOpenTypeフォントから、1つの文字に対して異体字の定義がなされています。標準の字体と同じ意味・発音を持つが、表記に差異がある文字のことで、手書きによる個人差から生じたもの、あるいは、新字・旧字(簡体・繁体)の違いによるもの。ほかに記号や合字など約物も同様に定義されています。定義された異体字はInDesignIllustratorの「字形パレット」を表示させて入力します。

 

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親字に定義された異体字の例

 

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地名や人名に使われていますので、異体字は会社案内などを制作する際の名前表記などで活躍します。

 

この異体字、実は現在も増えつつあります。フォント名の後ろにPro Pr5 Pr6 Pr6Nと表記されているのをご存知かと思います。この数字が大きいほど、異体字のカバーする文字数(そのフォントが保有する文字数)が多いのです。

 

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規格ごとのおおよその収録文字数は以下の通りです。

 

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Pr6フォントで作ったデータをStdフォントで開くと、Stdが収録していない文字は表示できないので、文字バケ事故をおこしますのでご注意ください。

 

ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、単位記号、マークや合字。最新の日本語フォントは15,000文字以上を収録しているとか。元々は親字のアレンジから生まれた異体字ですが、調べてみると異体字が「親=元々の字形」であって、親字の方が「異体字=略字」であるケースも少なくありません。字のなりたちやルーツを探ってみるのも楽しいと思います。

 

<関連記事>

6/27 Fontの話 “異体字”
https://www.daishinsha-cd.jp/blog/font2

7/25 Fontの話 UDフォントと学参フォント
https://www.daishinsha-cd.jp/blog/font3

 

Topics: コラム, DTP


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