こんにちは。 広報 吉田です。DCDでは、様々な業界のカタログを制作しています。中でも、住宅関連のお客様とは多くお取引があります。そこで今回は、担当する案件の半分以上をインテリアや住宅設備関連のお客様が占めるという、アートディレクターの西田にこれまでの制作事例や、仕事を行う上で大切にしていることを聞いてまいりました。
これまで、どんなお仕事をしてきましたか?
インテリアや住宅設備関連のメーカーさんのカタログを作ることは多いですね。もともとそれらの業界に特別興味があったわけではないのですが、カタログ制作を通して関わっていくうちに、どんどん好きになっていきました。仕事以外の時も照明や家具などに、ついつい目がいってしまいます(笑) インテリアはトレンドが1年程度で移り変わりますし、見ていて飽きません。トレンドはいつもヨーロッパやアメリカから発信されるので、ミラノサローネには何回か足を運びました。お酒を飲みながら商談をしたり、実際に新商品のソファに腰をかけたりなど、なかなか日本の展示会では見られない光景でしたね。
ソファのカタログ撮影を空港で行なった、という噂を聞いたのですが
はい、空港で撮りましたよ!大阪の家具メーカーさんのお仕事で、ソファの総合カタログを作ったときですね。
カタログ/中村工芸株式会社 様:Smooth Luxury
これを制作した当時は、町の喫茶店がカフェへと姿を変えていく時代でした。そこで私は、「このソファを置けば、どこでもカフェになりますよ」というコンセプトのカタログを作ろうと思ったんです。だから、空港やガソリンスタンド、レコーディングスタジオなど10箇所ほどを撮影しました。社内にフォトコーディネーターがいるので、企画してから撮影までスムーズでしたね。どんなオーダーにも対応してくれるので、頼りになります(笑) あと、このソファを置いた空間にマッチする音楽も制作しました!なんと、CDまでついたカタログなんです。
お客様の反応はどうでしたか?
「えらいもん作ってくれるね!」と満足してもらえました。カタログ制作後に行った製品展示会では、カタログと同じスタイリングやしつらえに合わせることでカタログ内の表現を展示会に持ち込み、世界観を連動させました。商品撮影時に使用したTシャツをスタッフの方に会場で着用していただいたりもしました。世界観を連動させたことで、ユーザーの皆様に、商品の良さをよりわかりやすく魅力的に伝えられたと思います。また別のカタログにはなりますが、その何年か後にはこちらのお客様と作ったカタログでB to B広告賞をいただくこともできました。
第30回「2009日本BtoB広告賞」 製品カタログ<総合>の部 銅賞
中村工芸株式会社 様:Smooth Luxury 2
こちらは「おもてなし」がコンセプトの、社長室や役員室に置かれるイスのカタログです。総合カタログというと製品をクローズアップして見せる物寄りのカタログが多いかと思いますが、応接室のような特別な場では「家具だけでなく、様々なこだわりのアイテムを使って空間全体をコーディネートし、大切なお客様をおもてなしすることの重要性」を伝えたいと思い制作しました。だから製品にクローズアップしすぎず、茶器や音楽、照明、窓外の風景なども組み合わせて撮影しました。
最後に、カタログを作る時に大切にしていることを教えてください
2つありますね。まず1つ目は、「製品の作り手の思いを大切にする」こと。それを具現化したのは、この事例です。
第37回「2016日本BtoB広告賞」 製品カタログ<総合>の部 銅賞
アリアフィーナ株式会社 様:ARIAFINA BRAND Catalogue Book / Product Catalogue Rev.1
こちらは、キッチンのコンロ上部に付ける「レンジフード」のブランドブックです。
実はこの写真は製品内部を写したものなんです。開発担当者の方に実際に話を聞いたところ、「中まで丁寧に作っていることをぜひ伝えたい」と。そこで製品内部に寄った写真を撮影しました。撮影して感じたのはこだわって作っているモノは中身までシンプルで美しいということ。やっぱり、作り手の話を聞いて作るのと、聞かずに作るのでは、でき上がりが違いますね。
そしてもう1つが、「実際に製品を使用する人の視点を大切にする」ことです。インテリアや住宅設備に限らず、どんな時もエンドユーザーの視点を取り入れてデザインを行うようにしています。決してツールとしての使いやすさだけに特化させず、見る人に楽しさや驚きを提供することを目指しています。この姿勢は長い間、全社員が大事にしてきましたし、若手のデザイナーもそういう気持ちで作っていますね。
これからも「見る人に楽しさや驚きを提供する」という想いを大切にし、どんどん新しい表現にチャレンジして、私自身、進化し続けたいなと思います。 皆様とも、ご縁があれば一緒にお仕事できれば嬉しいですね。