こんにちは。デザイナーの阪本です。
これから定期的に、心理学をテーマに役立つ情報を発信していきたいと思います。普段の生活や仕事、勿論私の本業であるデザインで使えるものも紹介していければと思っていますのでよろしくお願いします。
早速ですが、今回は初頭効果と親近効果について紹介します。有名なので知っている方も多いと思います。また、言葉や内容を知らなくても、ほとんどの人が使っている心理効果です。日常でもビジネスシーンでも、あらゆる場面で役立つのでぜひ覚えていってくださいね。
目次
- 初頭効果とは「最初の情報が重要」
- 親近効果とは「最後の情報が重要」
- 2つの効果を有効に使おう
- まとめ
初頭効果とは「最初の情報が重要」
初頭効果とは、最初に与えられた情報が後の情報に影響を及ぼす現象を指します。人や物に対する第一印象が長い間残り続けるのは初頭効果の影響です。社会心理学者のアッシュは、印象形成において、提示順序によって違った印象が形成されることを見出しました。
知的・勤勉・衝動的・批判的・頑固・嫉妬深い
と、示された人物Aさんの印象を尋ねると好印象を覚えたのに対し、
嫉妬深い・頑固・批判的・衝動的・勤勉・知的
と、Aとは逆に並べただけの特徴を示したBさんの印象を尋ねると悪い印象であったという実験結果になりました。
このことから最初に与えられた情報を元に人は印象付けをすることが分かります。また、初頭効果は情報を並列に扱った場合に起こりやすいとされています。
親近効果とは「最後の情報が重要」
前述した初頭効果と真逆の効果をもたらすのが親近効果。最後に与えられた情報が前の情報に影響を及ぼす心理効果を指します。
どういうものなのか、先ほどのAさんとBさんを例にしてみましょう。
この場合、最後に提示された情報の方がより印象に残りやすく、Bさんに好印象を覚えたのに対し、Aさんに対しては悪い印象が残ります。情報を並列に扱うのではなく、反対の情報を主張した際、親近効果によって後半の内容がより強調されます。
また、親近効果についてアメリカの心理学者メイヨーとクロケットが行なった実験では、「認知的複雑性の低い人の方が、後半に提示された情報で判断しやすい」という結果が出ています。………認知的複雑性って一体なに?
認知的複雑性 cognitive complexity
人や社会的事象の認知は、見方によってまったく異なった様相を呈する。思い込み、偏見、ステレオタイプは単一の見方に固着したときに起こる。これに対して、同時にいくつかの見方をすることで、認知の妥当性を高めることができる。このような認知のできる人を認知的複雑性の高い人という。(ウィキまとめより引用) https://wikimatome.org/wiki/認知的複雑性
平たく言うと、「複雑なことを複雑なまま認知できる能力」のことですね。認知的複雑性が低い人は物事を極端に判断する傾向があります。オール・オア・ナッシングの思考はこれに当てはまります。この認知的複雑性が低い人の方が後半に提示された情報で判断しやすいのです。
2つの効果を有効に使おう
初頭効果と親近効果、それぞれの効果について説明してきましたが、
「どういうものかはわかったけどどう使い分けたらいいの?」
「結局重要なのはどっちなの?」などなど疑問が出てくるかと思います。それぞれの効果を有効に使うにはどうしたらいいのでしょうか。
関心の程度で使い分ける
関心の低い相手に対しては初頭効果、
関心の高い相手に対しては親近効果が有効と言われています。
関心の低い相手に対しては最初に重要な情報を提示し興味を持ってもらい、ある程度関心のある相手には親近効果を重要視し、選択の決め手となるような良い情報を最後に提示すると効果的ということです。
メリット→デメリット→メリットの順
商品やサービスの説明をする場合、メリットのみを提示するといざデメリットが出てきた場合相手に悪い印象を残し、信頼を失ってしまう可能性があります。最初と最後が印象に残りやすいということは、中間の印象は残りにくいとも言えます。デメリットもきちんと提示する時、デメリットは話の中間に持ってくると良いでしょう。
例:このテレビは画質の良さが売りです。
少々値は張りますが、その分機能的です。
ちなみに心理学において、メリットだけを提示することを「片面提示」、メリットとデメリット両方を提示することを「両面提示」といいますが、こちらの詳しい内容は今回は割愛します。
重要なのはどっち?
初頭効果と親近効果、より重要なのはどっちなのでしょうか。
結論だけ言ってしまえはどちらも重要です。ありきたりな答えだな〜と思う人もいるかもしれませんが、優劣つけがたいものです。
まとめ
以上、初頭効果と親近効果についてでした。
2つの効果を上手く使い分けて生活や仕事に役立ててみてください。